デキストロメトルファンとチペピジンはどちらも延髄の咳中枢に作用して咳反射を抑制する中枢性の鎮咳薬です。デキストロメトルファンの方が鎮咳薬として効果が強力で、チペピジンは副作用が少なく小さな子供にも使いやすいという特徴があります。
ただし、デキストロメトルファンやチペピジンは全ての咳に効くわけではないことに注意が必要です。喘息や逆流性食道炎、副鼻腔炎などの病気が原因で咳が出ている場合には、こうした病気の根本的治療を行う必要があります。
喘息による咳には鎮咳薬は逆効果になることがあり、この場合は吸入ステロイドや抗ロイコトリエン薬を使う必要があります。また、逆流性食道炎による咳にはPPIやH2ブロッカーといった胃酸を抑制する薬を使う必要があります。
副鼻腔炎でも咳が出る場合がありますが、この場合はステロイド点鼻薬や抗菌薬などを使い副鼻腔炎の根本的治療が必要になります。他にも、家族の喫煙によって子供の咳が誘発されたり、心不全の兆候として就寝時に横になると咳がひどくなることもあります。
鎮咳薬を使っても症状が改善しない場合においては、薬剤師は咳の原因を明確にし、根本的解決のための改善策を考える必要があるでしょう。